生肉の旨味に卵黄のコクと甘辛いタレが絶妙なハーモニーを奏でる韓国料理「ユッケ」。今、馬肉のユッケの人気が高まっています。その理由についておいしさはもちろん、食中毒が起きにくい馬ならではの安全性の高さにあります。今から、「馬ユッケ」のおいしい食べ方とタレについてご紹介いたします。
目次
馬肉はとても人気なお肉です
馬肉の人気や需要が高まってきたのには3つの理由があります。まず1番目はそのおいしさです。コクがあり濃厚なのにあっさり柔らかな食感とにおいもクセもない上品な味です。
2つ目は栄養価が高いのにカロリーが低めという女性や中高年にもうれしいヘルシーさでしょう。そして3つ目が食中毒を起こしにくい安全性です。
馬肉が安全な理由
2011年富山県等でユッケの材料である生の牛肉から集団食中毒が発生。それを受けて厚生労働省は生肉の提供を厳格化し多くの焼肉店や韓国料理店のメニューから牛ユッケが消えていきました。
食中毒が起きたのは、腸管出血性大腸菌O111が原因とされています。牛にはその他にもカンピロバクター菌・サルモネラ菌などの細菌が潜んでおり、取扱い方によっては下痢・発熱・嘔吐を引き起こす可能性があります。
しかし馬はそういったリスクが低いのです。
馬に食中毒になる菌がほとんどいないのは体温が高いから
牛や豚・鶏の体温は34〜35℃位ですが、馬はそれより高く40℃位あります。その位体温が高いと腸管出血性大腸菌O111など食中毒を起こすような細菌は生きてはいられません。そのため馬肉は食中毒になりにくいのです。
ところが近年ある寄生虫が馬肉から発見されました。それがサルコシシティス・フェアリーです。この寄生虫がついた馬肉を食べると軽い下痢症状が起きることが報告されています。しかしサルコシシティス・フェアリーは冷凍することによって死滅する寄生虫なのです。
冷凍でさらに安全に
サルコシシティス・フェアリーは肉の中心温度がマイナス20℃になるよう48時間以上冷凍することで死滅させ食中毒を防ぎます。
通販などで手に入る馬肉・馬刺しは徹底した管理のもとで加工・冷凍されほとんどは1パック50〜100g程度に小分けされています。これは新鮮さと消費者側の衛生管理を考慮し解凍からできるだけ早く食べ切るようにしてもらうためです。
ユッケ初心者から中級者の食べ方を紹介
安全な馬肉のユッケは食べてみたいけど「どの部位の馬肉がいいのか」迷う方もいるでしょう。初めて家庭でつくるならまずはユッケ用としてカットされているものがおすすめです。慣れてきたら好きな肉質の馬刺しを自分で調理してみましょう。
初心者なら、ユッケ用馬刺し+専用タレで手間いらず
馬肉専門店、あるいは馬刺し専門店にはユッケ用として販売されている馬刺しがあります。ユッケ用はおおむね赤身が使われますが馬肉は赤身でも大変柔らかく、とろけるような味わいと滑らかな舌触りが特徴です。一人前ずつ細くカットされているので、包丁で切る手間が省けます。
解凍方法は食べる前に氷水に約5~10分程浸して、解凍する方法がおすすめです(塊の馬刺しとは解凍方法が異なります)。
解凍できたらボールに入れ、ユッケのタレをかけて味が馴染むようによく混ぜ合わせます。器に盛り真ん中をくぼませたらそこに卵黄をのせ小口切りの青ネギ、生姜など好みの薬味をのせていただきます。ユッケを初めて召し上がられる方にはこれが一番簡単でおいしい食べ方です。
ちなみにユッケのタレはスーパーにも売っていますが、馬ユッケ専用のタレは馬刺しの通販ショップで一緒に購入することができます。
中級者なら、好みの馬刺しを選んで自分でカット
ユッケは赤身を使うことが多いのですがサシの入った霜降りもまた違った味わいを楽しめます。好みの肉を選びたい場合は馬刺しとして100gほどの塊肉(冷凍)で売っているものを自分でカットしましょう。
ただし解凍方法は刻んであるユッケ用とは異なり氷水を使用します。凍った馬刺しを冷凍庫から出したら、たっぷりの氷を入れた氷水に浸しこの状態で約10分間おきます。
氷水につけると冷たいので解凍に時間がかかるのではと思われがちですが、実は空気よりも冷たい水の方が熱電動率が圧倒的に高く短時間で旨味を逃さず解凍できるのです。
10分ほど経つと表面が柔らかくなってきますが中心部がまだ凍った状態がベストです。解凍しすぎるとドリップが流れ出てしまうこととカットがしにくくなります。
カットはまず肉の繊維に逆らうように薄くスライスします。赤身の場合は2mm、霜降りの場合は3mmがおいしくいただける厚さです。それをさらに繊維を断ち切るように5mm幅くらいに細長く切ります。繊維に逆らって切ることで肉はより柔らかな食感になります。
上級者はタレや薬味にも凝ってみる
市販のタレもおいしいのですが好みでアレンジしたりオリジナルで作ってみたりするのもよいでしょう。また薬味もいろいろ変えてみると新しい美味しさを発見できます。
基本のタレの作り方
【材料 2人前】
しょうゆ 小さじ2
砂糖 小さじ2
コチュジャン 小さじ2
ごま油 小さじ1
ニンニク 1かけ
すりゴマ 小さじ1
【作り方】
好みで酒やオイスターソース・甜麺醤を加えて砂糖の量を加減してみるのもよいでしょう。もちろんすべての材料を揃えなくてもしょうゆ・砂糖・ごま油・ニンニクがあれば大体ユッケのタレ(調味料)になります。
市販のタレで簡単アレンジ
この他にも手軽につくるには焼肉のタレをベースにする方法もあります。焼肉のタレにはほとんどはニンニクが入っているのであとは砂糖とゴマ油を足すだけでユッケのタレに早変わりです。簡単な割には誰にでも好まれる味がつくれます。
まためんつゆに砂糖・七味・ニンニク・生姜を混ぜた和風やコチュジャンの代わりに豆板醤を混ぜた中華風などお好みでいろいろつくれます。
薬味もひと工夫
ユッケの薬味といえば青ネギが一般的なレシピですが、松の実や糸唐辛子をお好みで添えるとさらに美味しくなります。
その他馬刺しを食べる時のようにオニオンスライスや大葉・貝割れ大根を添えるのもおすすめです。
馬ユッケのアレンジメニュー
馬ユッケは基本の食べ方ももちろんおいしいものですがアレンジを加えてみるのもよいでしょう。誰でもできる超簡単な馬ユッケビビンバと少しおしゃれなタルタルステーキ風をご紹介します。
馬ユッケビビンバ
ビビンバにはナムルですがここでは手作りではなく簡単にお惣菜のナムルを使います。タレは市販のユッケのタレで。
【材料 2人前】
ユッケ用馬肉または赤身の馬刺し 100g
ユッケのタレ 2人前
ナムル(もやし・キクラゲ・人参・大根・小松菜など) 2人前
ご飯 2人前
青ネギ 煎りゴマ(白) 少々
卵黄 2個分
コチュジャン 小さじ2
【作り方】
食べる時は好みの量のコチュジャンをのせよくかき混ぜてから食べます。
馬ユッケのタルタルステーキ風
【材料 2人前】
ユッケ用馬肉または赤身の馬刺し 100g
玉ねぎ 小1/4個
ニンニク 1かけ
ケッパーまたはピクルス 大さじ1〜2
オリーブオイル 大さじ1
レモン汁 小さじ1
塩 粗挽き胡椒 少々
卵黄 2個分
【作り方】
食べる時は卵黄を崩し焼いたバゲットにのせながらどうぞ。ワインとも相性抜群です。
まとめ
アレンジも楽しい馬ユッケですが、まず最初は専用のタレと青ネギ・ゴマ・卵黄で食べてみることをおすすめします。その味わいはコクがあるのにしつこさがなくこれまで馬肉を食べたことのなかった人でもきっと気に入ることでしょう。
馬肉はおいしさはもちろん栄養豊富でヘルシーであること、そして安全性が高いことが食材としての大きな魅力です。馬肉の魅力と美味しさを味わえる馬ユッケと「たれ」を是非、ご賞味ください。