最近高タンパクかつ低脂肪な食材として馬肉の需要が高まっています。馬肉は栄養が豊富でヘルシーなだけでなく味も抜群なので一度馬刺しを食べればやみつきになってしまう方が続出しています。馬刺しファンの中で「とんでもなく美味しい!」と噂されているのが大トロの馬刺しです。馬刺しにも大トロがあるのを皆さんはご存知でしょうか?
「大トロ」と聞いて真っ先に思い浮かぶのは「まぐろの大トロ」である人がほとんどではないでしょうか。まぐろの大トロとはまぐろの頭部に近い腹の部分からとれるきわめて希少価値のある部位のことです。とても脂がのっているので刺身で食べれば口の中に入れるとすぐに溶けてしまうのが特徴です。
まぐろの大トロは高級なので特別な日の楽しみにしている方もいるかもしれません。またまぐろの大トロはシャリとの相性が抜群なので好きな寿司ネタの上位に登場することも多い食材です。
それでは馬刺しの大トロとはどのようなものなのでしょうか。その魅力や美味しい食べ方・そのレシピなどについて詳しくご紹介します。
馬刺しの大トロはどんな見た目?
馬刺しの大トロを見るとまぐろの大トロと間違えそうになるほどよく似た霜降りが入っています。そのため馬刺しは大トロと呼ぶことも多いものの、まぐろと区別できるように「霜降り馬刺し」と呼ばれることもあります。まぐろの大トロと比較すると馬刺しの大トロの方が赤い部分の色がより赤く見えるので魚との違いを感じられるでしょう。
どちらの大トロも室温でも脂がしっとりとして今にも溶けだしそうになっています。そのため見た目から想像するだけでも口の中に入れれば口内の体温で脂がさっと溶けて口いっぱいに広がることを予感できます。
馬刺しの大トロの魅力とは?
馬刺しの大トロの最大の魅力は口溶けのよさではないでしょうか。口の中に入れると一斉に脂身が溶け始めて口の中いっぱいに上品な甘さが広がっていきます。まったくくどくない脂なので濃厚なのに想像以上にさっぱりと食べられます。このとろけるような深い味わいがまた食べたいと思わせる所以ではないでしょうか。
馬刺しの大トロには見事な霜降りが入っているので赤身と脂身がバランスよく含まれているのも特徴です。一口食べれば一度に赤身の旨みと脂身の甘みの両方を味わえます。ほとんど噛む必要がないほどですが噛めば噛むほど赤身の旨みがあふれ出てきます。
馬刺しの大トロはどこの部位?
まぐろの大トロに勝るとも劣らない馬刺しの大トロですが主に「肩ロース」の部分から手に入ります。肩ロースのすべてが大トロになるのではなく霜降りの入り方を見て大トロか中トロかに分類します。馬刺しの大トロは体重が1tに及ぶ立派な馬であっても、手に入るのはたったの20~30kg程度という大変希少価値の高い部位なのです。
そのため馬肉の生産量が日本国内でずば抜けて多い熊本県の本場でも希少部位の馬刺しの大トロを口にできる機会は限られています。そんな馬刺しの大トロは特別な日やお祝い事のときにしか食べられない贅沢なごちそうなのです。
大トロは希少部位なのでその分お値段も高くなりますが一度食べると赤身には戻れなくなるほど絶品です。口の中に入れると上品な甘さの脂が広がりながら溶けていきます。ほとんど噛まなくてもなくなってしまうので究極の馬刺しといえるのではないでしょうか。
馬刺しの大トロと中トロの違いとは?
馬刺しの中トロは大トロと比較すると霜降りの入り方がまばらになります。なぜなら大トロと同じ肩ロースの中でも全体的にまんべんなく霜降りが入っているものを大トロに、そうでないものを中トロに分類するからです。また腹部の「チョーチン」と呼ばれる部位や首の根元に近い「ブリスケ」、お尻にある「イチボ」などからも適度に霜降りが入った中トロを手に入れることができます。
馬刺しの中トロは大トロよりもお求めになりやすい価格で販売されています。購入しやすいことに加えて中トロの方が大トロよりもあっさりと食べられるため根強い人気があるのです。飽きがこない美味しさなので毎日でも食べたくなってしまうかもしれません。
馬刺しには大トロ以外にどんな部位がある?
大トロは口溶けのよさと旨みの広がり方が抜群ですが馬刺しには馬肉にしかない部位があります。それぞれの部位を食べ比べてそれぞれの美味しさを味わいお気に入りの部位を探してみるのはいかがでしょうか。
馬刺しとして一番よく食べられているのは赤身です。馬肉の「ロース」「ヒレ」「ランプ」「モモ」といった部位の赤身は、まさしく「桜肉」と呼ぶのがふさわしいきれいな赤みがかったピンク色をしています。赤身は高タンパクかつ低脂肪なのでダイエット中の方や健康管理を徹底している方におすすめです。あっさりとしていながらも馬肉の旨みを存分に味わえるのが醍醐味ではないでしょうか。
ちょうど馬のたてがみが生えている部位のことを「タテガミ」あるいは「コウネ」といいます。見た目は馬肉とは思えないほど真っ白です。まるで脂の塊のようにも見えますが食べてみるとコリコリとした食感で意外にもあっさりと食べられるのが特徴です。
「フタエゴ」は腹部の「バラ」の下あたりから入手できる部位です。見た目はまるで帯状のリボンのようで赤身を挟むようにして白い脂身が付いています。脂身の濃厚な旨みを感じながらもコリコリとした食感を楽しめるので馬刺し好きの方から高い人気を誇る部位のひとつです。
牛肉や豚肉の生レバーが食べられなくなった今では馬肉の「レバー」はとても貴重な存在です。牛レバーよりもクセがないので牛レバーが苦手だった人にも受け入れられています。なめらかな舌触りとクセがないのに濃厚なコクがあるので一度食べれば病みつきになる美味しさです。牛レバーとは違う味わいではあるもののレバー特有の旨みをしっかりと感じられます。
馬刺しの大トロの人気の食べ方とは?
馬刺しの大トロは希少価値の高い部位なのでその味を生かすためにも馬刺しで食べることをおすすめします。馬刺しの本場の熊本では甘めの馬刺し専用タレで食べるのが一般的です。もちろん大トロを馬刺し専用タレで食べても美味しいのですがおすすめは塩とレモン汁で食べる方法です。
赤身よりも大トロは脂身を多く含むため馬刺しで食べる場合は塩とレモン汁をつけた方が脂の甘さが際立ちます。脂の甘さを存分に感じられるのにあっさりとしていていくらでも食べられそうな味わいになります。また塩が旨みを引き立てるので口の中で溶けてしまった後もしばらく余韻を楽しめるのではないでしょうか。
馬刺し以外の人気の食べ方に「炙り大トロ丼」「大トロステーキ」「大トロしゃぶしゃぶ」「大トロすき焼き」があります。それぞれどのような食べ方なのでしょうか。
どれも材料は少なく作り方も簡単なのでぜひ試していただきたい大トロのアレンジレシピです。また大トロを馬刺しとして食べようとしたものの、多すぎて残してしまった時のリメイク料理にもぴったりです。ひと手間加えるだけで馬刺しでは知り得なかった大トロの新たな魅力に気づけるのではないでしょうか。
①炙り大トロ丼
炙り大トロ丼とは軽く炙った大トロを炊き立ての熱々のご飯の上に乗せて醤油を掛けて食べるものです。
ご家庭にある醤油でもいいのですが馬刺し専用のタレがあるならそれを掛けるのもおすすめです。
お好みで生卵・刻みのり・小口切りにしたネギ・白ごま・アボカドなどをトッピングしても美味しいので、試してみてはいかがでしょうか。
炊き立てのご飯の温度で炙り大トロの脂身が溶け出して見るからにジューシーな一品です。炙ることで大トロに香ばしさが加わるので香りだけでも食欲が刺激されます。一口食べれば炙られて少し食感が増した大トロの旨みが口の中に広がります。無我夢中で食べ進めているうちにすべて平らげてしまうようなガツンとした美味しさがたまらない丼です。
②大トロステーキ
大トロステーキとは厚めに切った大トロをフライパンで軽く焼いたもので材料は大トロだけです。
大トロにはしっかりと脂がのっているので焼く時にはとくに油を引かなくても構いません。
あまり焼きすぎると大トロから脂が溶け出してしまって硬くなるのでポイントは表面をさっと焼く程度にとどめて中まで火を通さないことです。
大トロステーキはできれば焼き立てをすぐに食べてください。味付けはシンプルに塩・コショウで食べるのはいかがでしょうか。一口食べれば表面はカリっとしているのに中はとろけるのを感じられます。噛めば噛むほど旨みが次から次へとあふれ出てきていつまでも噛みしめていたいと思うような美味しさです。
③大トロしゃぶしゃぶ
馬肉をレアで食べることに抵抗があるという方やお子様・妊娠中の方におすすめなのが大トロしゃぶしゃぶです。
大トロしゃぶしゃぶとは薄切りにした大トロを普段のしゃぶしゃぶと同じ要領でお湯の中にさっとくぐらせてポン酢を付けて食べる食べ方です。シンプルな食べ方だからこそ大トロの旨みが際立ちます。
大トロをあまり長い間お湯の中に入れたままにしておくと硬くなってしまいます。そのためお湯にくぐらせるのはお鍋の中を往復させる程度の時間で構いません。さっとしゃぶしゃぶした大トロは表面の脂が落ちてポン酢の風味とともにさっぱりと食べられます。お好みでおろし大根や七味と一緒に食べるのも美味しいでしょう。
牛肉や豚肉のしゃぶしゃぶも十分に美味しいのですが馬肉の大トロのしゃぶしゃぶは繊細な旨みをあっさりと楽しむことができます。いつもとはひと味違うしゃぶしゃぶを食べてみませんか。
④大トロすき焼き
馬肉に苦手意識をもっている方向けなのが大トロすき焼きです。
すき焼きといえば甘い砂糖としょっぱい醤油、そしてまろやかさを出すお酒を使って濃い目の味付けをする誰もが好きな料理です。
牛肉ではなく馬肉で調理しても濃い味付けで食べやすくご飯が進む一品となります。
すき焼きの味付けがされた大トロはその濃い味付けに負けないほど馬肉の旨みを感じられるでしょう。大トロを使用することでぐつぐつ煮込んでいくうちに溶けだした脂の旨みが野菜や豆腐などの他の食材の中まで染み込んでいきます。そのため大トロが美味しいのはもちろんのことながら大トロの旨みが染み込んだ他の食材がこれまで知っていたすき焼きの味を超えるほど美味しくなります。
しめにはうどんに煮汁を吸わせて大トロの旨みを余すことなく食べ尽くしたいものです。お子様からお年寄りまで家族みんなに喜ばれる大トロのメニューとなるのではないでしょうか。家族が集まるタイミングにぴったりの食べ方です。
自宅でも馬刺しの大トロを食べることはできる?
スーパーで赤身の馬刺しが販売されているのを目にする機会はなかなかないのではないでしょうか。大トロの馬刺しともなるとなおさら販売しているお店は少ないと思います。おうち時間が増えた今、自宅にいながらにして全国各地の美味しいグルメを食べたいと考えている方は多いでしょう。そこで自宅でも馬刺しの大トロを食べる方法のひとつに通販サイトを利用する方法があります。
通販サイトの中には馬刺しの本場である熊本県の生産者の顔が見える商品を購入できるものもあります。せっかくなら美味しいものを食べたいものですし馬刺しは生で食べるものなので高品質で高い安全性が期待できる通販サイトを選びましょう。
通販サイトでは冷蔵ではなく冷凍の馬肉のブロックを真空パックにしたものを取り扱っていることがほとんどです。冷凍馬肉の賞味期限は1ヵ月以上あります。長いものでは半年近い賞味期限がある冷凍馬肉もあります。冷凍馬肉ならば食べたいタイミングで解凍していつでも食べられるのでとても便利です。
通販サイトでは赤身はもちろん大トロや中トロ、馬肉ならではの希少部位も販売されています。さまざまな部位がセットになったものもあるので色々と試してみてはいかがでしょうか。自宅にいながら熊本県を旅行しているような気分が味わえるでしょう。
脂肪の取り過ぎが気になる?馬刺しの大トロの脂肪分の成分とは?
とろけるような口溶けで一度食べればやみつきになってしまう馬刺しの大トロですが、脂肪の取り過ぎになるのではないかと気にしている方もいるのではないでしょうか。とくにダイエット中の方は食べない方がいいのではないかと考えている方もいるかもしれません。
馬刺しの大トロに含まれる上品な甘さがクセになるあっさりとした脂肪分は、実は体脂肪になりにくい脂であるといわれています。それはなぜかというと、馬刺しの大トロに含まれる脂肪分の割合は飽和脂肪酸が少なく不飽和脂肪酸が多いという特徴を持っているからです。
飽和脂肪酸とは動物性の食品に多く含まれる脂肪分で常温では固体になります。酸化しにくい性質をもっていますが、飽和脂肪酸が含まれる食品を摂取すると体脂肪がつきやすくなってしまうのです。一方で不飽和脂肪酸とは植物性の食品に多く含まれる脂肪分で常温では液体になります。不飽和脂肪酸は酸化しやすい性質をもっていますが、魚に含まれるオメガ3脂肪酸やオリーブオイルのように摂取しても、体脂肪としてつきにくい健康的な脂肪分なのです。
馬刺しの大トロは動物性の食品のため飽和脂肪酸も含んでいますが飽和脂肪酸より不飽和脂肪酸の割合の方が高くなっています。つまり動物性の食品でありながら魚や植物性の食品がもつ脂の性質を多く持ち合わせているのです。そのため他の動物性食品よりも馬刺しの大トロは体に脂肪がつきにくい食品だといえるのです。
しかしながらどんな食品も食べ過ぎてしまってはかえって健康を害するもとになります。毎日のように馬刺しの大トロを食べるのではなく他の食品とのバランスを考えながら食事に取り入れましょう。またダイエット中の方に関しては健康的な脂を含むとはいっても馬刺しの大トロは少量にしましょう。メインにするのは脂肪分が少ない赤身の部位にすることをおすすめします。
馬肉に含まれる栄養素とは?
馬刺しの大トロに含まれる脂肪分は体に脂肪がつきにくい健康的なものです。それでは馬肉にはその他にどのような栄養素が含まれているのでしょうか。代表的な「タンパク質」「カルシウム」「鉄分」「グリコーゲン」についてご説明します。
タンパク質
馬肉には豊富なタンパク質が含まれています。人間の体の6割は水分でできていますが残りの4割のうちの半分はタンパク質でできています。つまり人間の体の2割はタンパク質なのです。そのため健康を維持するには良質なタンパク質を摂ることが大切になります。豊富なタンパク質を含む馬肉を食べてしっかりと栄養補給しませんか。
カルシウム
カルシウムは現代社会に生きる私たちが不足しやすい栄養素のひとつです。カルシウムが不足すると骨や歯が脆くなるだけでなく精神的にもイライラしやすくなるといわれています。牛肉・豚肉・鶏肉と比較すると馬肉には2倍以上のカルシウムが含まれています。積極的に馬肉を摂取してはいかがでしょうか。
鉄分
鉄分が不足するとめまいや立ちくらみを起こしやすくなります。また疲れが取れにくいと感じている方は鉄分が不足しているのかもしれません。鉄分を多く含む食品として牛レバーを挙げる方は多いと思いますが実は馬肉は牛レバーよりも鉄分を多く含む食品なのです。
グリコーゲン
グリコーゲンとは疲労回復に役立つ栄養素です。忙しい日々を過ごしている方にこそ馬肉はおすすめです。また旨みを引き立てる役割をもっているためグリコーゲンを多く含む馬肉は噛めば噛むほど旨みを感じられます。
まとめ
馬刺しの大トロは脂身の上品な甘さと赤身の深い旨みの両方が楽しめるので一度食べればやみつきになってしまうこと間違いありません。主に肩ロースからとれるものの1tの体重の馬から20~30kg程度しかとれない、大変希少価値の高い部位です。
馬肉にはいろいろな部位がありますが大トロを食べてしまうと他の部位では満足できなくなる可能性があるほど脂の口溶けのよさがクセになる美味しさです。食べ方はそのままの味を生かして馬刺しにするのがおすすめですが炙り大トロ丼や大トロステーキなどひと手間加えるとまた別の美味しさに気づくことができます。
通販サイトを利用すれば自宅でも馬刺しの大トロを食べられます。大トロを食べるのは脂肪の取り過ぎが気になるという方もいるでしょう。馬肉に含まれる脂肪は飽和脂肪酸が少なく不飽和脂肪酸が多いという特徴をもっているため体に脂肪がつきにくくなっています。そうはいっても食べ過ぎはよくないので栄養バランスに気を付けた食事を心がけましょう。
馬肉自体がタンパク質やカルシウムをはじめとする栄養素を多く含む食品です。美味しい大トロやあっさりとした赤身など積極的に馬肉を食べて栄養補給してはいかがでしょうか。